第12章 モバイルシステム関連の法制度の要点
電波法、個人情報、著作権、電子契約、サイバー犯罪を整理
- 第12章は、モバイルシステムに関わる法律の章です。電波と電気通信、個人情報、著作権、取引、電子契約と電子署名、サイバー犯罪までを扱います。
- 免許不要の無線局の種類、個人情報と仮名加工情報・個人関連情報、電子契約法での取消し、名誉毀損罪と侮辱罪のように、似た用語や制度の違いが問われます。
- 法律は「だれを・何から守るか」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第12章「モバイルシステム関連の法制度」は、モバイルシステムを作り、提供し、使うときに関わる法律を扱います。電波法や電気通信事業法、個人情報保護法、著作権法、特定商取引法、電子契約法、電子署名法、迷惑メール対策法、不正アクセス禁止法、刑法のサイバー犯罪の規定までと、範囲が広い章です。
もちこ道場の模擬試験(全章から60問・60分)では、第12章から5問を出しています。もちこ道場ではモバイルシステム科目を第9〜12章としていて、この4章は同じ5問ずつです。そこで、本番の1科目43問のうち、第12章からは11問前後と予想しています(予想です)。
出てくる法律は、だれを何から守るかで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 電波と電気通信
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 免許不要の無線局 | 微弱無線局・市民ラジオ・小電力無線局・登録局など。小電力無線局は空中線電力が1W以下で、無線LAN や Bluetooth などが入る |
| 登録局 | 免許は要らないが、登録状の交付を受けて開設する局 |
| 工事設計認証 | 製品の設計図と製造の品質管理の方法を対象に、認証する。個々の端末ではなく、設計が対象 |
| 技術基準適合証明 | 個々の設備が技術基準に合っていることを証明する |
| 通信の秘密 | 電気通信事業者は、取り扱う通信の秘密を守る。事業を辞めた元従業員にも、秘密保護の義務は続く |
| 外部送信規律(2022年の改正) | Cookie などで利用者の閲覧履歴などの情報を外部に送るとき、利用者への通知などが求められる |
2. 個人情報
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 個人情報データベース等 | 検索できるように体系的に構成された個人情報の集まり |
| 個人関連情報 | Cookie で集めた閲覧履歴や位置情報など、個人を特定しない生存者の情報 |
| 仮名加工情報 | 一見して個人が分からないように加工した情報。社内での分析・利用に限り、対外的な提供はできない |
| プライバシーマーク | JIPDEC が運営する制度。内部監査は年1回以上、資格の更新は2年に1回 |
3. 著作権
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 無方式主義 | 登録などの手続きなしに、著作物を創作した時点で権利が生じる(特許権などとは異なる) |
| 著作者人格権 | 著作者の人格的な利益を守る権利。著作者だけのもので、他人に譲渡できない |
4. 取引のルール
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 特定商取引法 | 訪問販売や通信販売などのルール。通信販売にはクーリング・オフの制度がなく、広告などで返品の条件を示すことを事業者に求める |
| オークションの出品者 | 営利の意思で反復継続して出品する人は、販売業者とみなされる |
| デジタル・プラットフォーマー取引透明化法 | 特定のプラットフォームの提供者に、取引条件の開示などを求め、毎年度の自己評価を国に報告させる。独占禁止法に違反するおそれがあれば、国が公正取引委員会に対処を要請する |
5. 電子契約と電子署名
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 電子契約法 | 消費者の操作ミスによる申込みを救済する。事業者が確認の画面を設けていないなど、錯誤を防ぐ適切な措置をとっていなければ、消費者に重大な過失があっても、申込みを取り消せる(以前は「無効」。2020年4月施行の民法の改正で取消しに) |
| 契約の成立の時期 | 電子契約では、事業者の承諾の通知が申込者に到達した時点 |
| 電子署名法 | 本人の電子署名がある電子文書は、本人の意思に基づいて作られたものと推定される |
| 電子証明書 | 特定認証業務で、署名者が本人であることを示す |
| タイムスタンプ | その電子文書が、ある時刻に存在し、それ以後に改ざんされていないことを証明する |
6. 不正とサイバー犯罪
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 迷惑メール対策法 | 広告などの営利目的のメールを送る前に、受信者の同意を得るオプトイン方式 |
| 不正アクセス禁止法 | 他人の ID・パスワードを使った不正な利用のほか、他人に提供する行為なども禁止する。アクセス管理者にも防御の努力を求める |
| 携帯電話不正利用防止法 | 契約のときの本人確認を義務付ける。オンラインの本人確認には eKYC を使う |
| 電子計算機使用詐欺罪 | コンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与え、不実の電磁的記録を作って利益を得る |
| 不正指令電磁的記録作成罪 | 正当な理由なく、ウイルスなどを作ったり提供したりする |
| 名誉毀損罪と侮辱罪 | 事実を示して社会的評価を下げるのが名誉毀損。事実を示さないのが侮辱 |
| スキミング | 他人のカードの磁気情報・IC情報を不正に読み取る。支払用カード電磁的記録の罪 |
| ステーブルコイン | 資金決済法の暗号資産のうち、価格の変動を抑えるように作られたもの |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| 小電力無線局と微弱無線局・登録局 | 空中線電力が1W以下の局(小電力)か、ごく弱い電波の局(微弱)か、登録が要る局(登録局)か |
| 工事設計認証と技術基準適合証明 | 設計図と品質管理の方法を認証する(工事設計認証)か、個々の設備を証明する(適合証明)か |
| 個人情報・個人関連情報・仮名加工情報 | 特定できる情報か、特定できない閲覧履歴などか、加工して社内利用に限る情報か |
| 登録のいらない著作権と、登録の要る産業財産権 | 創作で権利が生じる(無方式主義)か、特許庁への手続きが要るか |
| 通信販売とクーリング・オフ | 訪問販売などにはあるが、通信販売にはない |
| 電子契約法の取消しと、以前の無効 | 現行は、確認の画面などがなければ消費者が申込みを取り消せる。以前の「無効」ではない |
| 電子署名とタイムスタンプ | 作成者が本人であること(電子署名)か、ある時刻に存在し改ざんがないこと(タイムスタンプ)か |
| オプトインとオプトアウト | 事前の同意を得てから送る(オプトイン)か、拒否されるまで送る(オプトアウト)か |
| 名誉毀損罪と侮辱罪 | 事実を示している(名誉毀損)か、示していない(侮辱)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、法律の名前を見たら「だれを何から守るか」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第12章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第12章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
電波法において、原則として無線局の開設には総務大臣の免許が必要とされるが、一定の基準を満たす無線局は免許が不要とされている。このうち、空中線電力が1W以下でテレメータや無線LAN、Bluetoothなどに利用される無線局は1と呼ばれる。
答えと解説を見る
正解は 3(小電力無線局)です。
【概要】
空中線電力1W以下で総務省令に定められた無線局は小電力無線局と呼ばれ、免許を受けずに開設できる。無線LANやBluetooth、特定小電力無線局などがこれに含まれる。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 登録局あなたの解答 登録局は免許は不要だが無線局登録状の交付を受けて開設する局であり、1W以下の小電力の局を指す名称ではない。
- 2. 微弱無線局あなたの解答 微弱無線局は発射する電波がごく弱いワイヤレスマイクなどの局であり、1W以下という出力で区分される局ではない。
- 3. 小電力無線局正解あなたの解答 小電力無線局は空中線電力が1W以下の局で、テレメータ用の局や無線LAN、Bluetoothなどが該当する。
- 4. 特定無線局あなたの解答 特定無線局は微弱・市民ラジオ・小電力・登録局から成る免許不要の区分には含まれず、本問の局の呼び名ではない。
問2
特定無線設備が技術基準に適合しているかを認証する制度において、個々の端末そのものではなく、製品の設計図面および製造段階における品質管理方法を対象として試験・認証を行う制度は1と呼ばれる。
答えと解説を見る
正解は 3(工事設計認証)です。
【概要】
工事設計認証は、無線設備そのものではなく設計図(工事設計)と製造段階の品質管理方法を対象とする認証制度である。設計に基づく1台を試験し、実際の設備は認証後に製造される。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 技術基準適合証明あなたの解答 技術基準適合証明は個々の設備や端末が技術基準を満たすことを証明する制度であり、設計図を対象とする制度ではない。
- 2. 技術基準適合自己確認あなたの解答 技術基準適合自己確認は製造者などが自ら適合を確かめる仕組みであり、設計と品質管理を審査する認証制度ではない。
- 3. 工事設計認証正解あなたの解答 工事設計認証は設計図と製造時の品質管理方法を対象とし、個々の端末ではなく工事設計を認証する制度である。
- 4. 無線局登録制度あなたの解答 無線局登録制度は登録局を開設するための手続きであり、無線設備の設計を対象とした認証制度ではない。
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よくある質問
第12章は、どの章とつながっていますか?
第9章から第11章でシステムを提案し、作り、運用するときに守る法律をまとめた章です。個人情報の扱いは運用の設計に、電波法は端末や無線機器の導入に直接関わります。
法律の名前や条文の番号を覚える必要がありますか?
条文の番号よりも、法律ごとの「趣旨」と「用語の意味」が中心です。何を守る法律か、どんな行為が対象か、どの制度が何を求めるか、を言えるようにしておきます。
電子契約法は、消費者の操作ミスをどう扱いますか?
事業者が申込みの前に確認の画面を設けていない場合、消費者が操作ミスで意図しない申込みをしたときは、消費者に重大な過失があっても、その申込みを取り消すことができます。以前は「無効」とされていましたが、2020年4月に施行された民法の改正で、取消しになりました。
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