第10章 システム開発の要点
開発手法、設計、品質の測定、テスト、納入を整理
- 第10章は、開発手法、設計、実装、品質の測定と管理、検証(テスト)、納入までの章です。
- ウォーターフォールとアジャイル(XP・スクラム・カンバン)、V字モデルと W字モデル、内部測定法と外部測定法のように、似た言葉の違いが問われます。セキュリティの設計(セキュリティ・バイ・デザイン、ゼロトラスト)も出ます。
- 用語は「開発の流れのどこの話か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第10章「システム開発」は、第9章で決めた要件をもとに、システムを作って、確かめて、引き渡すまでを扱います。開発の進め方の違い、安全な設計の考え方、品質の測り方、テストの段階と種類が中心です。
もちこ道場の模擬試験(全章から60問・60分)では、第10章から5問を出しています。もちこ道場ではモバイルシステム科目を第9〜12章としていて、この4章は同じ5問ずつです。そこで、本番の1科目43問のうち、第10章からは11問前後と予想しています(予想です)。
出てくる用語は、開発の流れのどこの話かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 開発手法
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ウォーターフォールモデル | 上流から下流へ順に進める計画駆動型。前の工程に戻りにくく、仕様変更や設計ミスの影響が大きい |
| アジャイル開発 | 短い期間で作って確かめる作業を繰り返す。変化に対応しやすい |
| XP のペアプログラミング | 2人で1つのプログラムを作る。入力するドライバーと、その場で確かめるナビゲーター |
| スクラムのスプリント | 1週間から1か月ほどの固定の期間で、計画・実装・評価を繰り返す |
| カンバン | 作業を見える化し、同時に進める作業の数(WIP)を制限する。トヨタ生産方式に由来 |
2. 設計とセキュリティ
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| セキュリティ・バイ・デザイン | 企画や設計の最初の段階から、安全を組み込む |
| シフトレフト | セキュリティ対策を、テストや運用ではなく、前の工程(設計や実装)へ前倒しする |
| 認証と認可 | 本人かどうかを確かめるのが認証。認証された人に、何を許すかを決めるのが認可 |
| ゼロトラスト | ネットワークの境界に頼らず、リソースごとに細かくアクセスを制御する。単位を細かく分ける考え方がマイクロセグメンテーション |
| システムズ・エンジニアリングの視点 | 企画から廃棄までの全期間を見通して、全体として最適にする(時間的な視点) |
3. 実装と開発環境
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| FPGA と CPLD | 書き換えできる論理回路。小規模なものが CPLD、より大規模なものが FPGA |
| クロスコンパイル | 開発用 PC とは別の環境(ターゲットの機器)で動く実行コードを作る |
| クロスプラットフォームの開発 | React Native や Flutter のように、1つの言語から複数の OS 向けのアプリを作る |
| Pandas | Python で、機械学習の前のデータの読み込みや並べ替え、欠損値の補完などを行う |
4. 品質の測定と管理
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| GQM | ゴール(目的)→ 質問 → メトリックス(尺度)の順に、測るものを決める |
| 内部測定法と外部測定法 | プログラムを動かさず、構造などを静的に測る(内部)か、動かして測る(外部)か |
| QC七つ道具と新QC七つ道具 | 数値のデータの分析に使うのが QC七つ道具。言語データをまとめるのが新QC七つ道具 |
| レビューとテスト | 文書やコードを人が見るのがレビュー。実際に動かして不具合を探すのがテスト |
| 欠陥と障害 | 開発中に見つかった不具合が欠陥。リリース後に見つかったものが障害 |
| 変更管理 | 成果物やベースラインへの変更を、特定し、文書にして、採否を決める |
5. 検証(テスト)
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| V字モデルと W字モデル | 開発が終わってからテストを考えるのが V字。開発の早い段階からテストの設計やレビューを進めるのが W字 |
| 結合テスト(ITa・ITb) | 工程を2段階に分けることがある。既存システムや外部のサブシステムにまたがる接続を確かめるのが外部結合テスト(ITb) |
| 互換性・相互接続性テスト | 通信キャリアの接続基準や、業界団体の認証を満たしているかを確かめる |
| 信頼度成長曲線 | 累積の不具合数が収束(平らに)してくると、テストの終わりの判断材料になる |
| メタモルフィックテスティング | 入力に決まった変化を加え、結果の変わり方を調べる。AI のように正解を決めにくいシステムで使う |
| 運用テストとベータテスト | 運用・保守の手順を確かめるのが運用テスト。リリース前に一般の利用者に試してもらうのがベータテスト |
6. 納入と終結
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| キッティング | 数百から数千台の端末に、初期設定やアプリを入れて使える状態にして納める |
| プロジェクト終了報告書 | 終結のときに、プロジェクトのやり方の良かった点と悪かった点を振り返ってまとめる |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| ウォーターフォールとアジャイル | 順に進めて後戻りしにくい(ウォーターフォール)か、短く繰り返して変化に対応する(アジャイル)か |
| スクラムとカンバン | 固定の期間(スプリント)で区切る(スクラム)か、進行中の作業の数を制限する(カンバン)か |
| 認証と認可 | 本人か確かめる(認証)か、何をしてよいか決める(認可)か |
| セキュリティ・バイ・デザインとシフトレフト | 最初から組み込む考え方(バイ・デザイン)か、対策を前の工程へ前倒しする動き(シフトレフト)か |
| FPGA と CPLD | 大規模(FPGA)か、小規模(CPLD)か |
| 内部測定法と外部測定法 | 動かさずに測る(内部)か、動かして測る(外部)か |
| QC七つ道具と新QC七つ道具 | 数値のデータ(QC)か、言語のデータ(新QC)か |
| 欠陥と障害 | 開発中に見つかった(欠陥)か、リリース後に見つかった(障害)か |
| V字モデルと W字モデル | テストの設計が開発の後(V字)か、早い段階から(W字)か |
| 運用テストとベータテスト | 運用・保守の手順を確かめる(運用)か、一般の利用者に試してもらう(ベータ)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第10章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第10章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
ウォーターフォールモデルは、上流から下流へと順を追って開発を進める計画駆動型の開発手法である。前工程の成果物をベースに次工程の開発を進めるため、途中で仕様変更や設計ミスが発生した場合に1というデメリットがある。
答えと解説を見る
正解は 1(前工程への後戻りが難しくプロジェクト全体への影響が大きくなる)です。
【概要】
ウォーターフォールモデルは各工程を順に完了させ、原則として後戻りしない。前工程の成果物に依存するため、仕様変更や設計ミスの影響が全体に及びやすい。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 前工程への後戻りが難しくプロジェクト全体への影響が大きくなる正解あなたの解答 前工程への後戻りが難しくプロジェクト全体への影響が大きくなるという点は、本モデルの代表的なデメリットである。
- 2. 開発スピードが極端に低下しアジャイル開発よりチーム数が多くなるあなたの解答 開発スピードやチーム数は本モデルのデメリットとされる点ではなく、本問の仕様変更時の影響には当たらない。
- 3. ドキュメントなどの成果物を作成できなくなり品質管理が困難になるあなたの解答 ドキュメントなどの成果物はむしろ品質管理の指標になる点がメリットであり、作成できなくなるわけではない。
- 4. 小規模なシステム開発にしか適用できなくなるあなたの解答 ウォーターフォールモデルは主に大規模なシステム開発に向くとされ、小規模専用とする内容は誤りである。
問2
アジャイル開発手法の一つであるエクストリーム・プログラミング(XP)では、入力を行うドライバーと、その場でコードのレビューを行うナビゲーターの2人がペアを組んで1つのプログラムを作成する1と呼ばれる手法が用いられる。
答えと解説を見る
正解は 3(ペアプログラミング)です。
【概要】
ペアプログラミングは2人で1つのキーボードを使い、入力役のドライバーとその場で確認するナビゲーターに分かれてプログラムを作る手法である。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. テスト駆動開発あなたの解答 テスト駆動開発はテストを先に書いてから実装を進める手法であり、2人の役割分担で作る本問の手法ではない。
- 2. リファクタリングあなたの解答 リファクタリングは外部の振る舞いを変えずにコードの内部構造を改善する作業であり、2人1組の作業形態を指さない。
- 3. ペアプログラミング正解あなたの解答 ペアプログラミングはドライバーとナビゲーターが役割を分けて1つのプログラムを作る手法で、本問に合致する。
- 4. スクラムチームあなたの解答 スクラムチームはスクラムで開発を担う最大10人程度のチームであり、2人1組で作業する手法の名称ではない。
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よくある質問
第10章は、どの章とつながっていますか?
第9章で決めた要件を、実際に作って確かめて引き渡すまでが第10章です。作ったあとの運用は第11章で、開発と運用を近づける DevOps の考え方は両方にまたがります。
テストと検証の違いは何ですか?
テストは、プログラムを実際に動かして不具合を見つける作業です。レビューは、動かさずに文書やソースコードを人が見て確かめる作業です。どちらも品質を上げるための手段で、試験ではこの区別が問われます。
欠陥と障害は同じ意味ですか?
区別します。開発の工程の途中で見つかった不具合は欠陥、本番のリリース後に見つかった不具合は障害と呼びます。
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出題範囲は、2026年10月27日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。