第4章 IoTシステム技術の要点
LPWA・oneM2M・IoT セキュリティを整理

更新日 2026年10月27日 読む時間の目安 約8分
この記事の要点
  • 第4章は、センサなどの IoT デバイスから、近距離無線・LPWA、ゲートウェイ、基幹ネットワーク、アプリ・サービス層、セキュリティまでを、IoT システムの層に沿って扱う章です。
  • I2C・SPI・UART、AoA と AoD、ZETA・SigFox・ELTRES のような、似た規格の違いが問われます。
  • 用語は IoT システムの層に沿って6つに分けると、覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第4章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第4章「IoTシステム技術」は、センサなどの IoT デバイスから、近距離・広域の無線、ゲートウェイ、基幹ネットワーク、アプリ・サービス層、セキュリティまでを、IoT システムの層に沿って扱う章です。第2章・第3章の技術が、IoT の場面でどう使われるかを問われます。

もちこ道場の模擬試験(60問・60分)では、第4章から6問を出していて、全体の10%にあたります。本番(1科目43問)は形が違いますが、この配分から、ネットワーク科目の43問のうち13問前後と予想しています。「ネットワーク科目=第2〜4章」は、もちこ道場の分け方です。

用語は、IoT システムの層に沿って、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第4章の用語の6つのまとまり 1. IoT デバイス I2C・SPI・UART 2. エリアネットワーク BLE・920MHz・LPWA 3. ゲートウェイ OSGi・デバイスシャドウ 4. 基幹ネットワーク DCN・LAPI・MEC 5. アプリ・サービス層 oneM2M・REST 6. IoT セキュリティ Mirai・NOTICE・Safety
第4章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. IoT デバイス

用語 ひとことで
I2C クロック線(SCL)とデータ線(SDA)の2線で、マイコンとセンサをつなぐ同期シリアル通信
SPI SCK・SDI・SDO と SS の信号を使う同期シリアル通信
UART 非同期のシリアル通信。クロック線で同期をとらない
GPIO 汎用の入出力ポート。主にデジタル信号用
独立型デバイス 通信機能が中心で、センサや機器をデバイスの外にシリアル通信などでつなぐ形
Leafony ボタン電池で動かせる、IoT のプロトタイプ開発向けの小型の基板

2. エリアネットワーク(近距離無線と LPWA)

用語 ひとことで
AoA 受信側の複数アンテナで電波の位相差を測り、送信側がいる方向を求める(Bluetooth 5.1)
920MHz 帯 2.4GHz 帯などより低い周波数で、障害物の陰に回り込みやすい(回折しやすい)
IEEE 802.11ah 920MHz 帯を使う Wi-Fi HaLow。ローデューティサイクル(LDC)で他の無線との干渉を抑える
ZETA・SigFox・ELTRES LPWA の規格。ZETA は最大4段の多段中継、ELTRES は上り方向のみ、SigFox は送信が必要なときだけ通信する
Z-Wave S2 従来の S0 で指摘されたペアリング時の弱点を改善した、セキュリティの規格
Matter スマートホームの標準規格。機器の初期設定には BLE を使う
Bルート スマートメータと宅内のエネルギー管理機器の間の通信
ビットコリジョン方式 RFID で、複数のタグを同時に読む際の衝突を、IDを先頭から照合して避ける

3. IoT ゲートウェイ

用語 ひとことで
OSGi Java の仮想マシンを止めずに、機能(バンドル)を追加・更新できる枠組み
SMS 受信 セルラー網のゲートウェイで、通信がない間の電池の消費を抑えるため、必要なときだけ呼び起こす手段
デバイスシャドウ 接続が切れても、エッジ側の状態を仮想の写しとして持ち、現在の状態を追跡できる(AWS IoT Greengrass)

4. 基幹ネットワーク(WAN)

用語 ひとことで
LAPI による MTC 輻輳制御 多数のデバイスの一斉接続で、EPC の制御信号が混み合うのを抑える
専用コアネットワーク(DCN) 大量の IoT 通信が突然起きても、一般のモバイル端末に影響しないよう、コアネットワークを分ける
ローカルブレイクアウト ローカル5G と MEC を組み合わせ、基地局の近くで折り返して遅延を小さくする
待ち行列理論 低速な回線に多数のデバイスを収容するとき、回線の利用率が70%を超えると平均の待ち時間が急に増える

5. アプリ・サービス層

用語 ひとことで
oneM2M IoT のサービス層のグローバルな標準規格
AE oneM2M で、各分野のサービスを実行するアプリケーション
CSE・ACP 共通サービス機能(CSE)が、リソースへのアクセス権限(ACP)を管理する
REST サーバ側でセッション情報を持たない(ステートレス)作り
デジタルツイン 現実の環境のデータをもとに、サイバー空間に環境を再現する

6. IoT セキュリティ

用語 ひとことで
Mirai 工場出荷時の初期ID・パスワードのままの機器に感染して広まったマルウェア
NOTICE 総務省などが、脆弱な設定の機器を調べて注意喚起する取り組み。無断ログインを禁じる不正アクセス禁止法の対象外とする法改正をして行う
端末設備の基準認証 IoT 端末は、初回利用時にデフォルトのパスワードの変更を促す機能などが求められる
安全性(Safety) 制御の技術(OT)がIT と融合するときに、情報の機密性より優先されやすい観点

取り違えやすい組み合わせ

組み合わせ 見分け方
I2C・SPI・UART 2線の同期(I2C)か、SS 信号を使う同期(SPI)か、同期をとらない(UART)か
AoA と AoD 受信側が到来方向を求める(AoA)か、送信側の角度から方向を求める(AoD)か
ZETA・SigFox・ELTRES 多段中継(ZETA)か、必要なときだけ送信(SigFox)か、上りのみ(ELTRES)か
920MHz 帯と 2.4GHz 帯 低い周波数で回り込みやすい(920MHz)か、高い周波数でまっすぐ進む(2.4GHz)か
専用コアネットワーク(DCN)と LAPI コアネットワークを分けて守る(DCN)か、接続の混雑を抑える(LAPI)か
CSE と ACP 共通サービス機能の全体(CSE)か、その中のアクセス権限の決まり(ACP)か
IT と OT のセキュリティ 機密性を重視(IT)か、安全性を重視(OT)か

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第4章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第4章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

Bluetooth 5.1で追加された方向検知機能のうち、受信側機器に複数アンテナを配置して電波の位相差から送信端末の方向を割り出す方式は1であり、忘れ物探索などで送信ビーコンの方向を特定する用途に適している。

答えと解説を見る

正解は 3(AoA)です。

【概要】

受信側の複数アンテナで捉えた電波の位相差から到来方向を求める方式はAoAである。Bluetooth 5.1でオプションとして加わり、ビーコンの方向が分かるため忘れ物探索に役立つ。

【図解】実験的機能

BLEビーコンと方向検知(AoA・AoD) BLEビーコンと方向検知(AoA・AoD)

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. AoDあなたの解答 AoDは送信側の発射角度から方向を求める方式で、移動端末側が発射角を知るものであり、受信側で到来方向を求める本問の方式ではない。
  • 2. RSSIあなたの解答 RSSIは受信強度から距離を判別する指標であり、方向を割り出す本問の方式ではない。
  • 3. AoA正解あなたの解答 AoAは到来角度を用い、受信機器のアンテナ間の位相差から送信端末のある方向を求める方式である。
  • 4. LDCあなたの解答 LDCは1時間あたりの送信時間の総和を抑える干渉対策であり、方向検知の方式ではない。

問2

IoTデバイス内部においてマイコンとセンサを結ぶ同期シリアル通信のうち、クロック線(SCL)とデータ線(SDA)の2線を用いてマスタとスレーブ間でアドレス指定によるデータ送受信を行う規格は1である。

答えと解説を見る

正解は 4(I2C)です。

【概要】

SCLとSDAの2本の線で同期シリアル通信を行う規格はI2Cである。マスタが作ったクロックをSCLで各スレーブへ送り、SDAでデータをやり取りする。

【図解】実験的機能

I2CとSPI、プロトタイプ用のボード I2CとSPI、プロトタイプ用のボード

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. SPIあなたの解答 SPIはSCK、SDI、SDOとSS信号を使う3線式の同期シリアル通信であり、2線式の本問の規格ではない。
  • 2. UARTあなたの解答 UARTは非同期のシリアル通信方式であり、クロック線で同期をとる本問の規格ではない。
  • 3. GPIOあなたの解答 GPIOは主にデジタル信号用の汎用入出力ポートであり、2線式のシリアル通信規格ではない。
  • 4. I2C正解あなたの解答 I2Cはフィリップス社の提案による2線式の同期シリアル方式で、SCLとSDAを用いる規格である。
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よくある質問

第4章は、範囲が広くて覚えきれません。どこから始めればよいですか?

まず「デバイス・エリアネットワーク・ゲートウェイ・基幹ネットワーク・アプリ・セキュリティ」の6つの層の名前を言えるようにします。そのうえで、層ごとに出る規格を1つずつ「何が特徴か」で覚えていくと整理しやすくなります。

LPWA の規格は、何を比べればよいですか?

もちこ道場の問題では、多段中継ができるか(ZETA)、通信の向き(ELTRES は上りのみ)、送信のタイミング(SigFox は必要なときだけ)のように、各規格の特徴を1つずつ問う形が中心です。規格ごとに「ここが違う」を一言で言えるようにしておきます。

第4章はどの章とつながっていますか?

第2章の無線の技術と第3章のコアネットワークが、IoT の場面で使われます。たとえばローカル5G と MEC の組み合わせや、多数のデバイスの一斉接続による制御信号の混雑は、第3章の知識があると理解しやすくなります。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月27日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. モバイルシステム技術検定1級(MCPC 公式)