第3章 コアネットワーク技術の要点
SS7・IMS・EPC・5GC を整理
- 第3章は、基地局の先にある事業者のコアネットワークを、構造と信号方式の両面から扱う章です。SS7、IMS と SIP、EPC、5GC、仮想化、通信品質まで出ます。
- 略語が多く、SCCP・TCAP・MAP、MME と AMF、NRF と SCP、MTBF と MTTR のような似た組み合わせの違いが問われます。
- 用語は「何をする機能か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第3章「コアネットワーク技術」は、携帯電話の事業者が持つ基地局の先のネットワークの仕組みを、構造と、それを動かす信号方式の両面から扱う章です。従来の SS7、IMS と SIP、4G の EPC、5G の 5GC、仮想化(NFV・SDN)、通信品質と信頼性の設計まで出ます。
もちこ道場の模擬試験(60問・60分)では、第3章から7問を出していて、全体の約12%にあたります。本番(1科目43問)は形が違いますが、この配分から、ネットワーク科目の43問のうち15問前後と予想しています。「ネットワーク科目=第2〜4章」は、もちこ道場の分け方です。
用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 信号方式(SS7 と Sigtran)
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| U-Plane と C-Plane | ユーザーのデータを運ぶ層と、制御信号を運ぶ層 |
| SCCP | 通話回線を伴わない制御メッセージを、グローバルタイトルというアドレスをもとに転送する |
| TCAP | 回線を伴わないメッセージのやり取り(セッション)の開始・継続・終了を管理する |
| MAP | ノード間で、加入者の位置情報などを交換する |
| M3UA・SCTP | SS7 の信号を IP 網で運ぶ Sigtran の部品。SCTP は IP の上で確実な到達と再送を担う |
| Diameter | LTE 以降で、SS7 に代わって位置情報の管理などに使う |
2. IMS と SIP
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| IMS | IP 網でマルチメディアの呼制御を行う仕組み |
| P-CSCF | 端末が送った SIP 信号を、最初に受け取る機能 |
| Precondition | 発着双方の無線リソースの確保が確認できるまで、着信側を呼び出さない処理(呼出音の頭切れを防ぐ) |
| SDP | セッション確立のメッセージの中で、IP アドレス、ポート番号、コーデックなどを伝える |
| SIPS | TLS で SIP を暗号化し、盗聴や改ざんを防ぐ |
| SMS over IMS | IMS を使ったショートメッセージ。SIP の MESSAGE を使う |
3. 4G の EPC
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| GTP | 端末が基地局間を移動しても IP アドレスを変えずに通信を続けられるよう、トンネルを作る |
| CUPS | 制御(C)とユーザーデータ(U)を分離する。SGW-C・PGW-C のように C を付けて呼ぶ |
| ベアラ | VoLTE の音声には、速度を保証する専用ベアラ(GBR)を使う |
| SSAC | 災害などで音声通話が急増したとき、VoLTE の通話を制限する |
| E-SMLC | 位置情報サービスで、端末の位置を計算する |
| BM-SC | MBMS(同じデータを多数に一斉配信)の中心となる機能 |
4. 5G の 5GC
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| SBA | 機能(NF)どうしがサービスとして呼び合う作り。C-Plane の通信は HTTP/2 に統一される |
| AMF | 端末の登録とモビリティ管理を一元的に行う(EPC の MME にあたる) |
| NRF | 利用したい NF を探せるよう、NF の情報を登録して案内する |
| SCP | NF どうしの通信を中継・制御する |
| NSSF | 端末が求めるサービス(S-NSSAI)に合わせて、つなぐスライスを選ぶ |
| SEPP | 事業者間のネットワークの接続点に置かれ、通信を守る |
| NWDAF・DCCF | ネットワーク内のデータを集めて分析する。DCCF は重複した要求を防いで効率よく集める |
| SSC mode | MEC の利用時に、セッションの継続の仕方を決める |
5. 仮想化(NFV と SDN)
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| NFV | 専用機器の機能を、汎用サーバ上の仮想マシンで動かす |
| MANO・VIM | NFV の管理・自動化の仕組み。VIM は仮想化基盤(計算・保存・ネットワーク)を管理する |
| SDN | ネットワークの制御をソフトウェアで行う |
| オーバーレイ方式 | VXLAN などで、既存のネットワークの上に仮想のネットワークを重ねる |
6. 品質と信頼性
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| PESQ | 原音と、伝送された音声の波形を比較して音声品質を評価する |
| R値 | 音質・遅延・エコー・雑音などのパラメータから算出する総合の品質指標 |
| MTBF・MTTR | 次の故障までの平均時間と、故障から復旧までの平均時間 |
| 稼働率 | MTBF ÷ (MTBF + MTTR) |
| ホットスタンバイ | 予備機を通電したまま稼働機を監視し、故障したらすぐに切り替える |
取り違えやすい組み合わせ
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| SCCP・TCAP・MAP | 宛先を決めて転送する(SCCP)か、セッションを管理する(TCAP)か、位置情報などを交換する(MAP)か |
| SS7 と Diameter | 従来の信号方式か、LTE 以降で位置情報管理などに使うものか |
| MME と AMF | 4G のコアネットワークか、5G のコアネットワークか |
| NRF と SCP | NF を探す手がかりを登録・案内する(NRF)か、NF どうしの通信を中継する(SCP)か |
| P-CSCF と S-CSCF | 端末からの SIP を最初に受ける(P)か、登録や呼の制御の中心(S)か |
| MTBF と MTTR | 故障までの時間か、復旧までの時間か |
| PESQ と R値 | 音声の波形を比べて評価する(PESQ)か、パラメータから計算する(R値)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第3章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第3章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
従来のSS7信号方式において、通話回線を伴わない制御メッセージのルーティングを行う際、グローバルタイトルと呼ばれる論理アドレス情報を基に転送先ノードを決定するプロトコルは1である。
答えと解説を見る
正解は 4(SCCP)です。
【概要】
SCCPはSS7で回線に対応しない制御メッセージを運ぶ層であり、グローバルタイトルというアドレス情報を手がかりに次の転送先ノードを決める。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. TCAPあなたの解答 TCAPは回線非対応メッセージのセッションの開始・継続・終了を管理する層であり、転送先の選択は行わない。
- 2. MAPあなたの解答 MAPはノード間で端末の位置情報を交換するためのプロトコルであり、メッセージのルーティングは担わない。
- 3. M3UAあなたの解答 M3UAはIP/SCTPの上でMTPと同等のインタフェースを上位に見せる層であり、本問のルーティング機能ではない。
- 4. SCCP正解あなたの解答 SCCPはグローバルタイトルをもとに次ノードを選び、回線非対応メッセージを転送するため正しい。
問2
IMSを用いた音声通信において、発信側と着信側の双方向で無線リソースの動的な確保が完了するまで着信端末の呼出し(180 RINGING)を行わない仕組みを1処理と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 1(Precondition)です。
【概要】
Precondition処理は、リソースの要求条件と確保状況をSDPの属性で表し、発着双方のリソース確保を確認できるまで着信端末を呼び出さない仕組みである。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. Precondition正解あなたの解答 Preconditionは双方のリソース確保が確認できるまで呼出しを保留し、呼出し音の頭切れを防ぐため正しい。
- 2. P-Access-Network-Infoあなたの解答 P-Access-Network-Infoは接続元のアクセス網の種別をIMSへ知らせるためのSIPヘッダであり、呼出しを待たせる処理ではない。
- 3. Session Updateあなたの解答 Session UpdateはSIPのセッション更新機能のことで、音声とビデオの切替えなどに使うものであり、本問の処理ではない。
- 4. AKA認証あなたの解答 AKA認証はIMS登録時にS-CSCFがHSSと連携して行う端末の認証であり、無線リソース確保とは関係しない。
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よくある質問
第3章は、5GC の用語を全部覚える必要がありますか?
5GC には NF の名前がたくさん出ますが、「登録とモビリティ(AMF)」「NF を探す(NRF)」「通信を中継する(SCP)」「スライスを選ぶ(NSSF)」のように、役割を一言で言えれば足ります。4G の対応する機能(AMF と MME など)と並べると覚えやすくなります。
SS7 は今でも出ますか?
もちこ道場の第3章には、SS7 と、それを IP 網で運ぶ Sigtran(M3UA・SCTP)の問題があります。LTE 以降は Diameter や SIP が使われますが、従来の信号方式との違いを知っておくと、新しい方式が理解しやすくなります。
第3章はどの章とつながっていますか?
第2章は基地局までの無線の区間、第3章はその先のコアネットワークです。第4章の IoT では、大量の端末がつながったときの制御信号の混雑など、コアネットワークの話が再び出てきます。
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