第8章 モバイルコンテンツサービス技術の要点
認証、アプリの作り方、ブロックチェーン、衛星測位を整理
- 第8章は、コンテンツを届ける・認証する・課金する・位置を知るまでの章です。もちこ道場の分け方では、端末・アプリケーション科目の最後の章にあたります。
- 基本認証とダイジェスト認証、GNSS と RNSS、RTK と VRS-RTK のような、似た組み合わせの違いが問われます。
- 用語は6つのまとまりで整理すると、話題が幅広い章でも見通しよく覚えられます。
この章で問われること
第8章「モバイルコンテンツサービス技術」は、コンテンツを届け、認証し、課金し、利用者の位置を知るまでの技術を扱います。放送の連携、アプリの作り方、IC カード、音声対話、ブロックチェーン、衛星測位と、話題が幅広いのが特徴です。
本番は1科目43問です。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、端末・アプリケーションにあたる第5〜8章から5問ずつ、合わせて20問を出しています(科目との対応はもちこ道場の分け方です)。この配分を本番に当てはめると、この章からは11問前後と予想しています。科目の約4分の1です。
用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 事業者と認証
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| プラットフォーマー | コンテンツに加え、端末・OS、回線、認証・課金までそろえた配信市場を運営する事業者 |
| 契約者識別番号 | 回線やSIMというモノの証明。本人の証明には暗証番号を組み合わせる |
| 基本認証とダイジェスト認証 | Base64 で符号化して送るか、サーバのランダム値とMD5で作ったダイジェストで確かめるか |
| 1st Party と 3rd Party Cookie | サイト運営者が発行するか、広告などの第三者が発行して追跡に使うか |
| 端末の識別子 | IMEI や MACアドレスは機種変更で変わる。Android ID は別々の利用者に同じ値となる場合がある |
2. 配信と放送、符号化
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| データ・カルーセル | 同じデータを繰り返し送り、途中から視聴しても必要なデータがそろうようにする |
| ワンセグ | 地上デジタル放送の13セグメントのうち、中央の1つを使う |
| 混在表示 | 提供者の違うコンテンツを同時に表示して同じ提供者に見えること。禁止されている |
| SBR と PS | SBR は高域をパラメータから復元する。PS はステレオをモノラル化して左右の特性を足す |
3. アプリの作り方
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ネイティブアプリ | OS に合わせて作る。端末の機能を十分に使える |
| Web アプリ | HTML5 で作り、ブラウザで動く。OS に依存しない |
| ハイブリッドアプリ | ネイティブアプリの中に WebView を置き、Web 技術で動かす |
| RWD | CSS3 の Media Queries で、画面サイズに合わせてスタイルを切り替える |
| PWA とサービスワーカー | バックグラウンドのワーカーで、先読みキャッシュなどを行う |
| SVG | W3C が規格化した、XML で書くベクター形式 |
4. IC カード・音声・緊急警報
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 接触型と非接触型 | 接触型は ISO/IEC 7816、非接触型の NFC は ISO/IEC 18092(NFCIP-1) |
| 三者間通信 | モバイルFeliCaのチップ、外部のリーダ/ライタ、端末のCPUの三者で行う |
| DSR | 特徴の抽出は端末で、辞書との比較はサーバで行う音声認識 |
| 音声対話サービス | スマートデバイス、AIアシスタント、ボイスアプリの3つで構成 |
| ETWS | 緊急警報。基地局がページングに最優先のビットを付けて知らせる |
| 災害用伝言板と音声お届け | Webに書き込む方式と、パケットで音声メッセージを届ける方式 |
5. ブロックチェーン
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 分散台帳技術(DLT) | 台帳を複数のノードに持ち、矛盾なく更新する。ブロックチェーンはその一つ |
| マイニング | 新しいブロックを付け加える処理。前のブロックのハッシュ値を含めるため、改ざんしにくい |
| NFT | デジタルデータの非代替性を証明するトークン |
| DeFi トークン | 貸付・貯蓄・保険・取引などの金融サービスに使うトークン |
6. 課金と位置検知
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 月額課金・都度課金・プリペイド | 1か月ごとの定額、利用のたび(ダウンロード時など)、事前に買ったカードのIDを入力 |
| 料金回収代行 | 通信事業者が、コンテンツ代金を通信料金とあわせて回収する |
| GNSS と RNSS | 全地球を対象にするか、特定の地域向けか(日本のみちびきは後者) |
| スタンドアロンGPSとA-GPS | 端末内で計算するか、補助情報を受けて測位するか |
| サブメータ級とセンチメータ級 | 誤差1m以下か、さらに細かい補強か |
| RTK と VRS-RTK | 基準局が多数必要か、仮想の基準局を使ってそれを抑えるか |
| OTDOA | 複数の基地局からの信号のタイミング差で位置を求める |
| 6DoF と PDR | 3軸の加速度と角加速度か、その積分で移動距離を測る歩行者の自律測位か |
取り違えやすい組み合わせ
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| 基本認証とダイジェスト認証 | Base64 か、MD5 のダイジェストか |
| 1st Party と 3rd Party Cookie | サイト運営者か、第三者か |
| Web アプリとハイブリッドアプリ | ブラウザで動くか、ネイティブの中の WebView で動くか |
| RWD と PWA | 画面サイズでスタイルを切り替えるか、ワーカーでキャッシュするか |
| 接触型と非接触型 | ISO/IEC 7816 か、NFC(ISO/IEC 18092)か |
| DLT とブロックチェーン | 大きな考え方か、その一つか |
| GNSS と RNSS | 全地球か、特定の地域か |
| RTK と VRS-RTK | 実在の基準局か、仮想の基準局か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第8章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第8章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
モバイルコンテンツサービスにおいて、コンテンツの保有・配信のみならず、対応端末やOS、さらには通信回線と認証・課金の仕組みを備えた流通市場を一括して提供・運営する事業者は1と呼ばれる。
答えと解説を見る
正解は 1(プラットフォーマー)です。
【概要】
コンテンツに加え、端末・OS、通信回線、認証と課金の仕組みを持つ配信市場までまとめて提供する事業者をプラットフォーマーという。スマートフォンの普及でGoogleやAppleも参入した。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. プラットフォーマー正解あなたの解答 プラットフォーマーは、コンテンツに加えて端末や回線、認証・課金を備えた配信市場まで一括で用意する事業者である。
- 2. キャリアプロバイダあなたの解答 キャリアプロバイダは、通信回線の提供を連想させる語であるが、端末から市場・課金まで一括運営する事業者の呼び名ではない。
- 3. コンテンツプロバイダあなたの解答 コンテンツプロバイダは、コンテンツを制作・提供する事業者であり、端末や回線、課金基盤までまとめて運営する者を指す語ではない。
- 4. システムインテグレータあなたの解答 システムインテグレータは、情報システムの構築を請け負う事業者であり、コンテンツの流通市場を運営する者ではない。
問2
フィーチャーフォン等でユーザID入力を省くために契約者識別番号をIDとして利用する場合、契約者識別番号単体では通信回線やSIMという「モノ」の証明にしかならないため、利用者が契約者本人であることを証明するために1と組み合わせた認証が必要となる。
答えと解説を見る
正解は 2(暗証番号(パスワード))です。
【概要】
契約者識別番号は回線やSIMというモノの証明にとどまるため、本人確認には暗証番号(パスワード)を組み合わせる。SIMを盗まれても番号だけで認証が通らないようにするためである。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 端末固有識別子(IMEI)あなたの解答 端末固有識別子(IMEI)は、端末そのものを識別する番号であり、使っている人が契約者本人であることは示せない。
- 2. 暗証番号(パスワード)正解あなたの解答 暗証番号(パスワード)は、本人だけが知る情報であり、モノの証明である契約者識別番号と組み合わせて本人性を確かめる。
- 3. 加入者識別ID(IMSI)あなたの解答 加入者識別ID(IMSI)は、SIMに結び付いた加入者の識別子であり、モノ側の情報なので本人の証明にはならない。
- 4. MACアドレスあなたの解答 MACアドレスは、通信機器のネットワークインタフェースに付く識別子であり、利用者本人の確認には使えない。
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よくある質問
第8章は話題が多いですが、何から覚えればよいですか?
まずは6つのまとまりの名前と、それぞれの代表的な用語(プラットフォーマー、ネイティブとWebの違い、DLT、GNSS)から覚えます。細かい数値より、用語どうしの役割の違いが問われます。
衛星測位は、衛星の数まで覚えますか?
受信できる衛星が3基なら緯度と経度の二次元、4基以上なら高さも含めた三次元、という対応を押さえておきます。
第9章とはつながっていますか?
第8章までが端末・アプリケーションにあたる範囲で、第9章から先はモバイルシステム(要件定義、開発、運用)の範囲です。ここまでで扱った技術を、業務に当てはめて考える章になります。
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